株式会社コルク CORK 設立 編集者は必要なのか


・ITmediaニュース
大手出版社を離れて設立:作家のエージェント会社「コルク」――安野モヨコ、小山宙哉、伊坂幸太郎さんら賛同

私が考えるようなことはプロの方々も当然考えているわけで、こうして動きが目に見える形で出てくるとうれしくなってきます。


これからの時代編集者は必要か――さまざまなコンテンツが作者から直接ユーザーに届けられるようになってきた昨今、出版業界では、こうした議論がひんぱんに聞こえてくる。


販路の壁が無くなったのが何よりも大きいです。昔は本屋さんに本を並べるには出版、取次、書店のルートを通らねばならず、自費出版で利益を上げるのは非常に難しかったのです。それがコミックマーケットと委託業者による同人誌販売や直販、アマゾン販売・・・個人でも売りようがいくらでもある時代になりました。

まだまだ広告媒体としてのインターネットは、TVや書籍といった既存コンテンツに一歩譲るものの、収益性の観点から言って出版社から本を出すメリットが薄れつつあります。公式なデータはないものの適当に2ちゃんねるのログをあさるだけで2000サークルは同人を生活資金にしていると言うような発言は出てきます。

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→同人って儲かるのか?

ただこういう数字に信憑性がないのはもちろん、同人誌はプロ漫画家、イラストレーター、アニメーターも描いているので、どちらかと言えばプロにとっての重要な副(本)収入なのではないかと思っています。

今後拡大していく電子書籍化によってさらにこの販路の障壁は下がる。これはもう確実といってもいいでしょう。このような流れに対して出版社の漫画編集部は存在意義を問われることになります。作者が自分で売ってしまうのなら編集者は必要ないかもしれません。

私などは漫画はさっぱりのアマチュアですが、一人で作品を作ることは客観的な視点を欠きやすく、作家が制作に集中するにあたって管理しマネジメントする編集者はやはり需要があるものだと思っています。しかし、その規模が出版社というものかというと疑問があります。編集者なんて要らないよと言う作家もそれなりに多くいるはずで、同人が本収入になっているプロは実質的に編集がいないも同然です。

株式会社コルクの設立は元々フリーな立場である漫画家と同じように、編集部がフリーランスの編集者として解体し変質していく大きな一歩となるかもしれません。

そして、出版社の中でも大きな売上げを上げている漫画編集部が縮小していくこと、これまで漫画の発展に貢献してきた取次、書店が中間マージンをとることが出来なくなって打撃を受けること、作家側の独立で得る利益と相反する立場となってしまう分岐点になるのかもしれません。中抜きの無い直売の利益率は本当に高くこれ抜きに作家の立場向上は考えられません。

ビジネス面から言えば現状の漫画家やイラストレーターは非常に立場の弱い下請け業者です。業界がビジネスライクではなく人間関係で成り立っているのであまり好まれない考え方であるかもしれませんが、作家が独立し自らの利益を増やすよう努力できる環境が整いつつあることを私は心から歓迎します。私のようなプロ未満の作家にとっても作品発表の方法が増え、販路が拡大することは作家のありかたそのものを変えていくことでしょう。

私に良くしてくれた編集者の方々にはこのような考え方で大変申し訳ありません。
コルクの全貌が明らかになる11月を心から楽しみにしています!


2012/12/10 続報を追記しました。
コルクの船は世界へ漕ぎだす――佐渡島庸平インタビュー|古賀史健|cakes(ケイクス)


アイキャッチが無いと寂しいのでジャッキーチュンリーでm(_ _;)m

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